
日本でも健康被害が懸念されている「たばこ」
禁煙施設も多くなり喫煙者の方にはだいぶ肩身が狭くなっていますよね。
そんな中、米国ではメンソールたばこと風味付き葉巻を国内で禁止する方針を決定したようです。
メンソールたばこは米国の売上の3分の1を占めていて、たばこ大手の業績に大きな影響が及ぶことは必至!
このニュースを見てふと疑問に思ったのが、「なぜメンソールたばこだけの禁止なのか?」ってこと。
こちらのニュースの一文で以下のような下りが
たばこ産業のマーケティング戦略が影響し、アフリカ系米国人によるメンソールたばこの利用率(訂正)が白人と比べて高く、健康被害をもたらしているほか、若者の喫煙を助長しているとして、禁止を求めていた。
少しわかりにくいのですが、
・白人に比べて黒人の方がメンソールを好むことが多く、健康被害を受けている
・メンソールが若者が喫煙するきっかけになっている
ということですね。
白人と黒人の比較をしているので人種差別が何かしらの影響を与えている??
ちょっと詳しく調べてみたいと思います。
さくっと読めますのでぜひ御覧ください。
目次
メンソールのたばこの起源は??
そもそもメンソールたばこはどのように誕生したのでしょうか??
最初にメンソールたばこが誕生したのは、1925年。
ロイド「スパッド」ヒューズは、薬用メントールの結晶を入れた缶にたばこを一晩入れ、その後それを吸ってみると、
ミントの味がしてさわやか!ということを発見!
ヒューズはすぐに特許を取り翌年、早速商品化し世界初のメンソールたばこ販売会社を設立しました。
その後、1933年にブラウン&ウィリアムソン社がメンソールたばこ「クール」を販売。これが爆発的に人気を得て、
メンソールたばこの認知が広がっていったようです。
メンソールたばこのターゲットが黒人だった?
人気を博したメンソールたばこですが、今のような「嗜好品」としてではなく、
1933年から1956年まで、咳や風邪の症状を示したときに喫煙する特別な「喉」紙巻きタバコとして販売していました。
今で言う、「ネオシーダー」みたいなものですかね。
※吸煙し、せきを鎮め痰を出やすくする薬と言われています。
ちなみに煙中に、ニコチンとタールをわずかに含まれています。
つまりメンソールたばこを「健康的」なものとして販売していたんですね。
ところが!1950年代から「それって虚偽でしょ?」と
連邦取引委員会(FTC)はたばこ会社を虚偽の広告で訴えるという事態が発生!
このままでは、、
「メンソールたばこの販売が危うい!」と思ったたばこ会社は、
なんとか新しい販売手法を考えなければ。。とマーケティング調査を実施!
そこで、ターゲットとして注目したのが1960年代に都市部に流入してきた黒人たち。
「よし!黒人をターゲットを絞ってメンソールたばこを販売しよう!」
当時、今よりも断然、人種差別が強かったので黒人向けの商品というのはあまり多くなく、
いわゆる「ブルーオーシャン」
これは、きっとたばこ会社もほくそ笑んだに違いありません。。
黒人へのマーケティング手法は?
メンソールたばこの販売ターゲットとされた黒人へ実際にどのようなマーケティングが行われたのでしょうか??
具体的にみていきます。
1:クロスMD
まずは、当時貧しいとされていた黒人のコミュニティに販売されていた安価な酒の隣にメンソールたばこを置き、
販売するようにしたようです。
これはいわゆるクロスMDと言われる手法です。
スーパーでもこんな場面!よく見ますよね!
- 焼肉用の牛肉盛り合わせセットを広告の品とする場合、向かいのエンドに焼肉のタレを配置する。
- カレー用の豚肉の特売をする場合、向かいのエンドにカレールウを配置する。
- 秋のサンマが出始めた時に、大根おろし用に小分けにした大根を近くに陳列する。
これってあまりコストもかけずにできるし、販売現場での手法なので効果が絶大なようです
2:雑誌・ポスターでの広告展開
雑誌や店頭ポスターでの広告も展開。しかもモデルに「黒人」を採用することでターゲットを明確化させました。
雑誌広告は、黒人系の向けの月刊誌「エボニー」へ掲載するなどの徹底ぶりだったようです。
絵に書いたような完全なマーケティングと言えますね。
3:ジャズ音楽との結びつけ
1975年から1984年にかけて、ブラウン&ウィリアムソン社はBBキングやマイルスデイビスらを結集し、
クールジャズフェスティバルというジャズの音楽フェスを開催。
その際にメンソールたばこを大々的に宣伝することで、ジャズ音楽とメンソールたばこと結びつきを強化させました。
また公民権運動が活発化する中で、さらにメンソールたばこは黒人若者と反乱の代名詞として浸透していったようです。
結果、このような徹底的なマーケティングのおかげで、1970年代までには、メンソールたばこは黒人に多く好まれることになり、
1976年までに、35歳未満の黒人喫煙者の60%近くが吸っているとされていました。
そして今ではなんと黒人喫煙者の85%がメンソールたばこを吸っているというデータがあるようです!
・KOOLに含まれる「K」はクークラックスクラン(秘密結社KKK)を意味する。(白人至上主義)
→黒人をターゲットにして広めたのは黒人に害を与えるためという噂があったみたいです・・完全にこじつけですけどね。。
メンソールたばこ禁止は人種差別が理由?
メンソールたばこと黒人との時代背景を見てみました。
メンソールたばこの販売拡大に伴い、黒人の肺がん発生率は40年ずっと上昇!
さらにはリスクも30%も高いという結果が出ているようです。
黒人の方々の健康を考えると、85%もの人が吸っていると言われるメンソールたばこを販売禁止にすることは
理にかなっているようには見えますが・・・
ただ、逆に言うと
普通のたばこの規制はせずに、黒人が好むメンソールたばこだけをを禁止にするのは、人種差別なのでは??と考えることもできます。
現に、SNSでもこのような声は多く上がっていて
メンソールたばこは特に黒人に広く支持されている。そこでいくつかの黒人団体が、メンソールたばこの規制は黒人差別につながるという反対運動をしており、問題は複雑化している。https://t.co/FfkMTu0yor
なんだこの言いがかり感は…
— 弱酸性 (@Weaked_Acid) March 19, 2016
メンソールたばこは特に黒人に広く支持されている。そこでいくつかの黒人団体が、メンソールたばこの規制は黒人差別につながるという反対運動をしており、問題は複雑化している。
— 墓 (@curecontrabass) October 29, 2013
・アメリカの煙草市場の1/3がメンソール煙草
・戦後から爆発的にメンソール煙草が黒人を筆頭に流行る
・吸いやすくて健康に悪いから禁止(‘-‘ )…?
市場の1/3を占めてる煙草が健康に悪いなら
市場の2/3を占めてる煙草はそれ以上に悪いよね。なら煙草はもう売っちゃダメだよね?
これ黒人差別だろ? https://t.co/lfhrHo9Kx8— fateredowl@hvk (@hiviki69) April 30, 2021
確かに考え方としては一理ありますが・・実際はどうなのでしょうか?
メンソールたばこ禁止の本当の理由は??
実は、このメンソールたばこ、すでにイギリスやEU各国では販売禁止になっているんですよね。。
この理由として、
未成年を含む若年層に人気がある風味付きたばこを狙い撃ちし「EU域内で慢性疾患を引き起こす最大の要因」(EU保健当局)であるたばこを若者が吸い始めるのを抑制する。
としています。つまり、未成年の喫煙を防ぐのが目的ってことなんですね〜
確かに先程の記事にも「若者の喫煙を助長している」としていますから、
人種差別ってよりもむしろ、こちらの方が大きな理由なのかもしれません。
実際には、アメリカでは、フレーバーつきのタバコは若者が喫煙を始めるきっかけになりやすいというデータがあり、
2009年にはメンソール以外のフレーバータバコの販売が禁止されていて、
今回、メンソールも禁止される運びとなったのは、
フレーバーリキッドを用いた電子タバコが高校生に流行していることが問題視されたということが
背景にあるとも言われているみたいです。
まとめ
今回は米国でメンソールたばこが販売禁止になった理由が黒人・人種差別が関連しているのか?について歴史背景を元に詳しくまとめてみました。たばこ会社の販売戦略にうまく黒人が載せられてしまっている!というのは間違いないですが、決して彼らが好んでいるものを取り上げるために販売禁止にするのではなく、
世界的にも問題になっている未成年の喫煙を防止するため!っていうのが大きな理由でした。
むしろ黒人の下りは記事に必要ないのでは??って感じてしまいますが・・
米国の場合は、どうしても人種問題には敏感なので、話が複雑になってしまったっていうことなのかもしれません。