
火を扱える動物は「人間」しかいません。火の発見が文明のスタートとも言われるほどで、火の存在は人間の生活に切っても切り離せないもの。火をうまく扱うことで人間は、暖を取り凍えることや野生動物から身を守り、暗い夜を明るく照らし、食べ物を焼いておいしさを得てきました。
現在、オール電化住宅が普及し、IHヒーターや電子レンジでの調理が増え、実際に火を見たり、触れたりする機会が減少傾向にあります。また空き地や公園でも花火も禁止になっているところも多く、子供たちが火を扱う機会は、ほとんどないと言っていいでしょう。
火遊びは危ないからだめ!
確かにそのとおりです。火は扱い方を間違えば大切なものを奪ってしまう恐ろしさがあります。ただこの怖さも具体的になぜ怖いのか、どうすればうまく扱えるのかを経験しなければ学ぶことはできません。危ないからやらせないのではなく、危ないからこそ安全な扱い方<フォーム>を教える必要があるのではないでしょうか。
例えば、包丁やはさみなどの刃物もそうですよね。使い方次第では自分も他人も傷つけてしまいます。ただ、持ち方や手を切らないようにするための、手の添え方などの「フォーム」を学び、使いこなせるようになります。大事なのは体験させて、教えられる機会を作ることです。
火を思いっきり使う経験ができて、火の扱い方「フォーム」を教えられること。。
それはズバリ!キャンプの焚き火です!
焚き火というとかつては暖をとる冬の代名詞のような扱いでしたが、今ではキャンプに欠かせないアクティビティのひとつ。多くのキャンパーがシーズン問わず焚き火を楽しんでいます。これだけ人を魅了する「焚き火」には子供だけでなく大人にもメリットいっぱい。そんな焚き火の魅了を今回はご紹介いたします
。
目次
キャンプの焚き火がもたらす4つの効果
焚き火をしているバーチャル体験ができるスマホアプリやYOUTUBEなどの動画サイトではひたすら焚き火で火が燃えている様子を撮っただけの動画も公開されるほど人気の焚き火。
人々をこれだけ魅了する焚き火の様々な効果のうち、4つをご紹介します。
- 火の扱い方を学べる!
- 美味しい、映える料理が作れる!
- 憩いの場になる!
- 炎で癒やされる!

この他にも効果がいっぱいあるみたいだよ!ここでは4つの効果をご紹介しますね!
●火の扱いを学べる!
火の使い方<フォーム>を教えること。このことを最近では「火育」(ひいく)と言われています。
薪をくべたり、燃やす小枝を集めたりといったお手伝いを通じて、燃える炎の変化を知ることができます。焚き火をしていると時には灰が飛んで軽度なやけどをしてしまうこともあるかもしれません。ただこのような経験を積み、熱さを感じることで、火の怖さを体感させることができます。「どうしたら熱いか、危ないか」を理屈ではなく、経験することがなによりも大切です。
小さな失敗経験は「次はこうすれば、うまくいくだろう」という気づきを生みます。何でもやってみて、失敗したら、それを改善して前に進んでいく。。ビジネスと一緒ですね!
何事もやってみる、やらせてみないと何も始まりません。特に子供は経験を吸収し、学習する能力が高いため、驚くべきスピードで成長していきます。
また火を扱える能力があると、万が一の災害時でガスが使えず直接火をおこして炊き出しなどをするときにも役に立ち、人の役に立てるかもしれません。
●美味しい、映える料理が作れる!
焚き火で鉄フライパンを使ってステーキを焼いたり、ダッチオーブンで煮込み料理を作ったり、焚き火を使って作る料理はガスで作るより美味しく仕上がります。(美味しいと感じるだけかもしれませんが。。)ダッチオーブンで仕上がった料理は絵力抜群なので、インスタ映えすること間違いなしです!
火加減が難しく焦げたり、煤がついてしまうこともありますが、そんな失敗もまたキャンプの醍醐味。みんなでワイワイ料理するのは、ほんとに楽しいですし、子供に食事のお手伝いをしてもらうことで食育の効果も期待できます。いつもと違う環境だと子供たちも自然に料理に興味をもってきます。どんな小さなことでもいいのでお手伝いをさせ、任せてみて、大げさなくらいほめてあげてください。(例えば、野菜を手でちぎってみたり、肉をトングでつかんで網の載せてさせて見たり、本当に簡単なことからでいいと思います)
きっと目をキラキラさせて「もっとお手伝いしたい!」と言ってくれますよ!
失敗してたとえ多少散らかしてもそこは外。後始末もおうちのキッチンでやるより断然楽ですしね。我が家もお手伝いをしてもらったときに持参したお米をばらまいてしまったことがありました。家族みんなで大爆笑ww外だと大人もおおらかな気持ちになれるのかもしれません。
●憩いの場になる
火の周りは人が自然と集まります。各々にチェアを並べ、焚き火を眺めながらゆっくり寛いでいると自ずと会話もはずんできます。夫婦で子供ことや将来ことなど、話すことで絆も深まります。普段なかなかコミュニケーションがとりにくい思春期を迎えている子供がいらっしゃるご家族には特にオススメです。
「焚き火は万能のコミュニケーションツールですから」
2019年2月に放送された「マツコの知らない世界」で元・メンズ ノンノモデルで焚き火マイスターという猪野正哉さんが番組内でおしゃっていた言葉です。まさにそのとおり!焚き火は自然とココロを開かせる不思議なツールです。
焚き火で沸かしたコーヒーを飲みながら、家族でゆったりと過ごす。最高の瞬間ですね

焚き火ってココロも温まってくる感じがするよね。
●炎で癒やされる
焚き火の炎をみつめていると、「ずっとこのまま見ていたい」というリラックスしたなんとも言えない心地よい感覚を得ることがあります。これは焚き火の炎が1/fのゆらぎをもっているから。1/fのゆらぎとは自然界に存在する波の音、風の吹く音、小川のせせらぎなどが持つ波長で一定の規則的な動きの中に、予測できない不規則な動きのこと。このゆらぎにヒーリング効果があり、精神的安定が得られると言われています。

宇多田ヒカルさん、吉田美和さん、美空ひばりさんの歌声にも1/fのゆらぎがあると言われているよ
焚き火はゆらゆらと動く炎の動きだけでなく、薪が燃えて割れるときのパチパチという音にも1/fのゆらぎを感じることができるため、ヒーリング効果は絶大。人間関係に悩む人が多い現代、都会で暮らしている人から見ると非日常空間である焚き火はリラックスを図るのに最適と言えますね。
焚き火の火遊びで子供に最高の教育を
原体験<自然体験>が子供の地頭を鍛えることを前回一度ご紹介しました。
詳細はこちら
最近は空前のキャンプブーム。アニメの「ゆるキャン△」などの影響もあり、キャンプといえば夏!という概念を超えて冬でも冬キャンとして年間を通してキャンプを楽しむ方が増えており、日本オートキャンプ協会の『オートキャンプ白書 2 …
原体験とは火、石、土、水、木、草、動物+ゼロ体験
この中にも「火」が含まれており、焚き火をして火の扱い方を学ぶ<火育をする>ことで子供たちの生きる力【地頭】を養うことができます。
焚き火こそ子どもが体験すべきものだと力説するのは、ユニークな教育論で定評がある教育環境設定コンサルタントの松永暢史さんは著書の中で、子どもをキャンプに連れていくことが大切な教育であること、そして焚き火ほど教育に適したものはないと言っています。さらに自身のブログでは、
「子どもに火を扱う体験をさせるーこれはあらゆる教育の原点でありこれより「上」はない。燃える火を見つめること、それに関わることの体験は他の一切の教育を捨象する。子どもに焚火の火を与える体験の大切さを了解できない者は、ほぼ「教育」に関係ないものたちである
JOKER.松永暢史のブログ より
このようにまで言い切るほど、焚き火による教育教育効果を高く評価しています。
さぁ、キャンプで焚き火体験をしてみよう!
最後にこれからキャンプを始めよう!焚き火をしてみよう!という方に、気をつけなければいけない点をご紹介いたします。
直火での焚き火はNG!?
焚き火というと、石でかまどを作って地面に直に薪を置いて火をつける。。そんなイメージが有るかと思いますが、ほとんどのキャンプ場で現在。この直火は禁止とされています。禁止理由としては、地面や芝生を痛めてしまうことが主ですが、一部のマナーの悪いキャンパーも要因のひとつです。
- 燃えない薪木をそのままにして帰ってしまう
- ゴミも一緒に燃やしてしまう
- 燃えた炭を後始末をせずに帰ってしまう
- 立ち木の近くで焚火を行い立ち木を焦がしてしまう
などのマナー違反は絶対にしないようにしましょう。
楽しく安全に焚き火が楽しめる場所を維持していくためにも、各キャンプ場施設で決められているルールや、自然環境、周囲の人への配慮を忘れずに!
焚火をする際には「焚き火台」を使用しましょう。焚き火台からも灰や燃えカスが落ちてしまい地面を痛めたり火災の原因になる可能性があるので「耐火シート」を併用することをおすすめします。

ネット通販で検索するといろんな種類の焚き火台が出てくるね

性能に大きな差はないから、好みにあったものを揃えればいいと思うよ
焚き火は爆ぜる!?
焚き火をしていると薪の状態にもよりますが、ときより「バチン!」という音とともに薪から火の粉が飛び出てくることがあります。このパチンと割れる状態を「爆ぜる(はぜる)」と言います。大抵は小さいな火の粉ですぐに冷えて問題ないのですが、時折、大きな破片が飛び散ることがあります。これが服などに付けば、焦げて穴があいてしまい、下手をすればやけどをしてしまったり、テントやタープなどに飛び火すれば一瞬で燃え上がってしまうこともあります。
■焚き火で事故を起こさないようにするための4か条
- テントやタープからは少し離れたところで焚火をする
- 囲いテーブルを利用し、焚き火台に近づきすぎないようにする
- 化学繊維の服はできれば避ける(フリースやジャーズ、ナイロンジャケットは避ける)
- 長袖・長ズボンで肌を露出させない
拾った薪木は乾燥が不十分で燃えにくく、さらに爆ぜやすく、取り扱いが少し難しいため、はじめのうちは、焚火の際は、市販の薪(キャンプ場で販売している薪がオススメ)を使うことをおすすめします。
また火起こしの際に、お子様と小枝を拾って火を付けることが多いかと思いますが、「竹」だけは間違っても入れないようにしてくださいね!昔、我が家で誤って竹を入れてしまい、大爆発しました。。(竹は空洞が多く破裂します。「破竹の勢い」などの語源ですね)幸い小さな竹で、近くに誰もいなかったので大事に至りませんでしたが、、一応注意してください。
後始末は完全に行いましょう
焚火を存分に楽しんだあとは、きれいに後片付けすることもを忘れずに行いましょう。
まだ火が残っている炭にいきなり水を掛けるのはNG。蒸発した熱い水蒸気があがり、大変危険です。外気で冷やしてから、十分に水をかけて完全に消し切りましょう。薪は残らないように燃え尽くすようにしなければいけないのが鉄則ですが、万が一、残ってしまった場合はキャンプ場のスタッフに確認し、処理してください。決してテントサイトの脇に置きっぱなしにしないように!
せっかく焚火で子供たちに良い教育ができても、モラル違反を見せては効果が0です。。
「立つ鳥跡を濁さず」
灰・焼きあとひとつ、残さないのが本物のキャンパーですよね!
焚き火がしたくてうずうずしてきませんか??
家族みんなで素敵な焚き火ライフを!!